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人材紹介の採用業務をClaude Codeでワークフロー化する|ChatGPTの単発プロンプトから繰り返し動く仕組みへ

私はこれまで、人事として自社の採用に関わり、HR Techの会社で働き、人材紹介のエージェントや、CFO仲介で求人要件の整理もしてきました。採用の文章をAIに手伝ってもらうようになって、最初に困ったのは、毎回プロンプトを全部貼り直すことでした。

しかも、同じようにお願いしているつもりでも、出てくる内容が毎回少しずつ変わります。前につくったものに合わせて、また指示を入れて直して、という同じ作業を繰り返していました。

一度、自社専用の手順をしっかりつくってしまえば、あとはそれに沿って何度でも同じ手順で作れます。しかも一言で呼び出せます。毎回チャットにお願いしていた頃より、ずいぶん楽になりました。

この記事では、求人ヒアリングから採用ペルソナ、求人票、媒体別の原稿、スカウトまでを、ばらばらの単発作業ではなく、1本のワークフローとしてClaude Codeでつなぐ方法をまとめます。人材紹介の各工程でClaude Codeに何ができるかは 人材紹介をハイテク事業に変える10の方法 にまとめました。この記事は、その工程どうしをつないで、繰り返し動く仕組みにする話です。

01 単発プロンプトで止まるのは、工程の「つなぎ目」です

チャットは、1回のお願いに答えるのは得意です。ただ、人材紹介の採用業務は、ひとつの作業で完結しません。求人をヒアリングし、どんな人に届けるかを決め、求人票にして、媒体ごとに書き分け、スカウトを送る、という工程が連なります。

チャットでこれをやると、前の工程の結果を、次のお願いにまた貼り付けることになります。求人票をつくったら、それをコピーしてスカウトのお願いに貼る。媒体を変えるたびに、また貼り直す。この貼り直しが、工程のつなぎ目ごとに発生します。

もうひとつ困るのが、出力が毎回ぶれることです。判断の基準が、その時のプロンプトの中にしかないからです。昨日と同じつもりでお願いしても、書き方やトーンが少し変わります。案件が増えるほど、このぶれをそろえ直す手間が増えていきます。

観点単発のチャットワークフロー
工程のつなぎ出力を手でコピーして次に貼る前の出力がそのまま次の入力になる
品質の安定毎回ぶれる(基準が指示の中だけ)型に沿うので毎回そろう
呼び出し毎回プロンプトを書き直す決めた手順を一言で呼び出す
自社のノウハウ担当者の頭の中に残るファイルに資産として残る
BEFORE工程のつなぎ目ごとに出力を貼り直し、毎回トーンもぶれる。
AFTER前の出力が次の入力になり、型に沿って毎回同じ観点・形式でそろう。

02 全体像:4つのステップを1本のワークフローに繋ぐ

やることは、採用業務を4つのステップに分け、前のステップの出力を次のステップがそのまま受け取れるようにすることです。

ヒアリングメモ + 会社情報 人が用意する ① 採用ペルソナ(3案) 誰に届けるかを決める ② マスター求人票(1枚) ペルソナを受け取る ③ 媒体別の原稿 求人票を媒体に合わせて変換 ④ スカウト 3通 ペルソナと求人票から作る
前の工程の出力が、次の工程の入力になります。ペルソナと求人票は、スカウトづくりにも使われます。

ステップは次の4つです。

  • ① ヒアリングメモから、採用ペルソナを3案つくる
  • ② ペルソナをもとに、マスター求人票を1枚に整える
  • ③ マスターを、媒体別の原稿に変換する
  • ④ ペルソナと求人票から、スカウトを3通そろえる

ポイントは、最初につくるペルソナが、求人票とスカウトの両方の入力になることです。同じように、できあがった求人票は、媒体別の変換とスカウトに渡ります。チャットのように手でコピーして貼り直すのではなく、ファイルに残った出力を、次の工程が読みにいきます。各工程の成果物を職種ごとのフォルダにまとめておくと、案件が増えても整理されたまま回せます。

BEFORE工程ごとにばらばらの作業で、つなぎは手作業になる。
AFTER4ステップが1本につながり、出力がファイルに残って次の入力になる。

03 ヒアリングメモから採用ペルソナを3案つくる

最初に決めるのは、その求人を「誰に届けるか」です。ここがぶれると、求人票もスカウトも的が外れます。クライアントへのヒアリングメモと会社情報を読み込ませて、採用ペルソナをつくります。

私は、ペルソナを必ず3案出すようにしています。1案だけだと、その人物像に引っ張られて視野が狭くなります。年齢層・キャリアの軸・転職で動く理由を意図的に変えた3案を並べると、どの層を狙うかを選べます。

このクライアントの求人について、採用ペルソナを3案つくってください。

■ 読み込む材料(このクライアントのフォルダ内)
- 会社情報・事業内容のメモ
- 求人ヒアリングのメモ/預かったJD

■ 3案それぞれに書いてほしいこと
- 基本属性(年齢層・経歴・現職・想定年収)
- 価値観(何を大事にし、何に納得するか)
- 転職軸(なぜ動くか・何を求め・何を避けたいか)
- 接触の切り口(どの媒体で・どんな入り口で声をかけるか)

■ ルール
- 3案は年齢層・キャリア軸・動機を意図的に変え、似た人物像を並べない
- 材料にない経歴や数字は創作せず、不明な点は「要確認」と書く
BEFOREなんとなくの人物像のまま、求人票とスカウトを書き始める。
AFTER狙う層を3案から選び、後の工程の的が定まる。

04 ペルソナを渡して、マスター求人票を1枚に

狙う層が決まったら、そのペルソナを入力にして、求人票の原本をつくります。これをマスター求人票と呼びます。媒体に依存しない1枚で、ここから媒体別に展開していきます。

ここでつなぎ目の自動化が効いてきます。先に固めたペルソナを、求人票づくりがそのまま読みにいきます。「誰に届けるか」が引き継がれるので、求める人物像と仕事の魅力が、狙う層に向けてそろいます。

マスター求人票のつくり方そのものは、別の記事に詳しくまとめました。1社のヒアリングからマスター1枚を起こす手順は 人材紹介会社がClaude Codeで求人票を作る を参照してください。ワークフローの中では、その求人票づくりに「選んだペルソナ」を渡すところが連結になります。

BEFORE求人票を書く人が、頭の中の人物像でなんとなく書く。
AFTER選んだペルソナを引き継ぎ、人物像に沿った求人票になる。

05 マスター1枚を、媒体別の原稿に変換する

マスター求人票ができたら、媒体別の原稿に変換します。WantedlyとGreenとIndeedでは、求められる書き方が違います。同じ内容でも、どこを厚くするかが媒体で変わります。

媒体ごとの書き分けルールを1つのファイルに定義しておけば、マスターを読んで媒体の作法に整え直せます。媒体を増やしたいときは、このファイルに定義を1つ足すだけです。この書き分けルールは、クライアントが何社になっても共通で使える自社の資産になります。

媒体別変換の具体的なやり方と、2024年に追加された労働条件の明示義務のチェックも 求人票の記事 にまとめています。ワークフローの中では、先につくったマスターを、この変換がそのまま受け取ります。

BEFORE媒体ごとに、構成もトーンも手で直して書き分ける。
AFTER書き分けルールを一度定義すれば、マスターから媒体別に変換できる。

06 ペルソナと求人票から、スカウトを3通そろえる

最後に、スカウトをつくります。ここでは、ペルソナと求人票の両方を入力にします。「誰に・何を魅力として伝えるか」が、前の工程からそろって渡ります。

スカウトは、初回と再送2回の計3通を、切り口を変えてそろえると追いやすくなります。初回はその人に声をかけた理由、2通目は今このタイミングで連絡した理由、3通目は具体的な面談の提案、というように役割を分けます。

冒頭の「あなたに声をかけた理由」の一文だけは、私は手で書くようにしています。ここが一斉送信のように見えると、返信が一気に減るからです。その一文以外の土台を、過去の勝ちパターンに沿ってそろえてくれます。

スカウト文の質の上げ方は 採用スカウト文をClaude Codeで内製する に詳しくまとめました。

BEFORE1通ずつ手で考え、再送のたびに切り口に迷う。
AFTERペルソナと求人票から、切り口の違う3通が下書きでそろう。

07 一度つくった型を、一言で呼び出して繰り返す

ここまでの4ステップは、一度組んでしまえば、案件が来るたびに同じ流れで回せます。私がワークフローにしてよかったと感じるのは、毎回プロンプトを書き直さなくてよくなったことです。決めた手順を一言で呼び出せば、ヒアリングメモから順に動きます。

繰り返し回すうえで大きいのが、自社の型を共通の資産として持っておくことです。職種や案件ごとに変わるのは、会社情報とヒアリングメモだけです。次のような型は、一度しっかりつくれば全案件で使い回せます。

  • 媒体ごとの書き分けルール
  • スカウトの勝ちパターン(件名や切り口)
  • 候補者への推薦文の型
  • 履歴書・職務経歴書の添削の観点
  • クライアントや候補者へのメール文面

これらは、担当者の頭の中ではなく、ファイルとして手元に残ります。人が増えても、見る観点と出力の形式をそろえやすくなります。一気通貫を売りにするSaaSは、この運用を製品側に持つ形です。自分でワークフローを組めば、型は自社の資産として手元に残ります。

このクライアントの新しい求人について、採用のワークフローを通して回してください。

■ 順番
1. ヒアリングメモと会社情報から、採用ペルソナを3案つくる
2. 採用する1案を私が選んだら、それをもとにマスター求人票を1枚つくる
3. マスター求人票を、媒体ごとの書き分けルールに沿って媒体別に変換する
4. ペルソナと求人票から、スカウトを3通(初回・再送1・再送2)そろえる

■ ルール
- 各ステップの出力はファイルに保存し、次のステップはそれを読んで進める
- 事実にない経歴・数字は創作せず、不明な点は「要確認」と書く
- スカウト冒頭の「声をかけた理由」は私が手で書くので、空欄にしておく
BEFORE案件のたびに、工程ごとにプロンプトを書き直す。
AFTER決めた手順を一言で呼び出し、同じ観点で繰り返す。

08 まとめ:単発のお願いから、繰り返し動く仕組みへ

人材紹介の採用業務は、ひとつの作業では終わりません。チャットに毎回お願いすると、工程のつなぎ目で貼り直しが起き、出力も毎回ぶれます。

求人ヒアリングからペルソナ、求人票、媒体別の原稿、スカウトまでを1本のワークフローにつなぐと、前の出力が次の入力になり、毎回同じ観点・形式でそろいます。媒体の書き分けやスカウトの型を共通の資産として持っておけば、案件が増えても回り続けます。

各工程の詳しいやり方は、求人票の記事スカウトの記事人材紹介をハイテク事業に変える10の方法 にまとめました。進め方の相談は 人材紹介会社向けの Claude 活用 からどうぞ。まずは1職種で、ヒアリングメモからペルソナと求人票をつくるところから試してみてください。

FAQ

よくあるご質問

ChatGPTでも採用業務はできますが、何が違うのですか?

単発の作業なら、ChatGPTでもできます。違いは2つです。ひとつは、前の工程の出力をそのまま次の工程に渡せること。毎回プロンプトを貼り直さずに済みます。もうひとつは、一度つくった自社の型を呼び出して、案件ごとに同じ手順と観点で繰り返せることです。

一気通貫のSaaSを導入するのと、どう違うのですか?

一気通貫を売りにするSaaSは、運用の仕組みを製品側に持つ形です。Claude Codeでの内製は、媒体の書き分けやスカウトの勝ちパターン、推薦文の型といった自社のノウハウを、自社の資産として手元に持ちながら回します。型が自分たちに残るのが違いです。

全部をAIが自動でやってくれるのですか?

やりません。ペルソナが妥当か、スカウトの冒頭にその人だけの一文を入れる、媒体に出す前に内容を最終確認する、といった判断は人が行います。Claude Codeは工程をつなぎ、下書きを同じ手順と形式でそろえるところまでです。

非エンジニアでも組めますか?

組めます。扱うのはマークダウンのファイルとフォルダで、コードは書きません。会社情報や媒体ごとの書き分けルールを、ふだんの文章で用意しておくのが中心です。

候補者の個人情報や機密はどう扱えばいいですか?

Claude Codeに入力した内容は、AIの処理のために送信されます。候補者の氏名や連絡先など、個人を特定できる情報は、伏せ字やイニシャルに置き換えて扱うのが安全です。クライアントとのNDAや自社の個人情報の取り扱い規程に沿って、どこまでを入力してよいかを先に決めておくことをおすすめします。

既存のATSや求人媒体と併用できますか?

併用できます。このワークフローは、ATSや求人媒体を置き換えるものではなく、その前段の下書き(ペルソナ・求人票・媒体別の原稿・スカウト)を整える役割です。できあがった原稿を、ふだん使っている媒体やATSに貼って運用します。

どこから始めればいいですか?

1つの職種で、ヒアリングメモから採用ペルソナと求人票をつくるところからです。うまく回り始めたら、媒体別の変換とスカウトまでつなげていきます。

Writer

木村和弘(株式会社アルリーチ 代表)

木村和弘

株式会社アルリーチ 代表

Claude Code/Claude Cowork の活用研修「クロトレ」を運営。経営者・士業・人材紹介会社が、AIで業務を自分で内製・自走できるようにする個別顧問・研修を提供しています。CFO仲介事業の運営を通じて、財務・経営の実務にもAIエージェントを日常的に活用しています。

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