人材紹介会社がClaude Codeでスカウト作成を内製する方法
スカウトは、送る数が増えるほど一通ずつ書く時間がなくなります。つい定型文になり、開かれずに終わる。人力で送れる数にも限りがあります。
前提として、ビズリーチなどで候補者を探して送る部分は変わりません。Claude Codeが変えるのは、その先の文面の作り方です。
文面の作り方には、スカウトサービス内蔵のAI、月額のAIスカウトツール、そしてClaude Codeで自社用に作る方法があります。この記事で扱うのは3つめです。求人も候補者も自分で見る両面型エージェントが、一人ひとりに合わせて返信率を上げ、その質を保ったまま数もこなす。そこを狙います。
この使い方は、人材紹介をハイテク事業に変える10の方法の「候補者集客・スカウト」を、文面づくりに絞って深掘りするものです。
文面は何で作る? サービス内蔵AI・専用ツール・Claude Code
スカウトを送る基盤(ビズリーチなど)は使う前提です。その上で、文面を作るやり方は大きく3つ。向き不向きを並べます。
| 文面づくりの方法 | 手軽さ | 自社らしさ・固有性 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| スカウトサービス内蔵のAI | 高い(その場で生成) | 低い(汎用的で似た文面に) | とにかく早く数を出したいとき |
| 専用のAIスカウトツール(月額) | 高い(自動化される) | 中(テンプレの範囲で最適化) | 大量・標準化された運用 |
| Claude Codeで内製 | 準備は要る(自社の型を仕込む) | 高い(自社・候補者に固有) | 自社の勝ち筋や両面型の強みを出したいとき |
内蔵AIや専用ツールでも、手軽さを取るなら十分な場面はあります。Claude Codeが効くのは、質と自社らしさで差をつけたいときです。
理由は単純です。汎用AIは、誰が使っても似た文面になります。Claude Codeには、自社のフォルダにある「過去に返信が良かったスカウト」「候補者の公開情報」「自社の文体ルール」をそのまま読み込ませられる。だから、自社にしか作れない、その候補者に宛てた一通に近づきます。
① 公開情報から、その人だけの一文を作る
私は採用する側(人事・HR Tech)も、紹介する側(エージェント)も経験してきました。受け取る側にいると、テンプレのスカウトは本文を読む前に分かります。開かれない一番の理由は、このテンプレ感です。「複数の方にお送りしています」が透けて見える文面は、読まれずに閉じられる。逆に、冒頭で「この人のこの経歴・この発信を見て連絡した」と伝わる固有の一文があれば、続きを読んでもらえます。
Claude Codeには、候補者の公開情報(会社の公式サイト・note・登壇資料・公開インタビューなど)と求人内容を読み込ませ、その人だけに当てはまる事実を起点にした冒頭を作らせられます。送信は各サービスやメールで人が行う前提で、文面づくりだけを任せます。
次の候補者に送るスカウト文を作ってください。送信はこちらで行うので、文面だけ作ってください。 ■ 候補者(公開情報の範囲で) - 氏名/現職(分かる範囲で): - 参照してよい情報源:本人の会社の公式サイト、note、登壇資料、公開インタビュー、Xの公開投稿 - 求人(JD):(ここに貼り付け) ■ 書き方 - 冒頭は、候補者の経歴や発信の中の「具体的な事実」をひとつ取り上げる(テンプレ感を消す) - 中盤は、求人の魅力のうち、その候補者に響きそうな点を2つだけ - 結びは「まずは情報交換から」など、気軽な面談の提案 - 全体300〜400字。「複数の方に」など一斉送信に見える言い回しは使わない ■ ルール - 公開情報で裏が取れないことは書かない(憶測で持ち上げない) - 連絡先などの個人情報は文面に含めない
② カスタマイズを保ったまま、まとめて作る
固有の文面は効きますが、一人ずつ手書きでは数をこなせません。人力だと1日20通も送れば限界です。ここを抜けられるのが内製の強みです。
候補者リストと求人をまとめて渡せば、一人ひとりに固有の文面を、複数名分まとめて作れます。ひな型に名前を差し込むのではなく、各候補者の事実に合わせた別々の文面を、一度に用意できます。
この求人に対して、候補者リストの一人ひとりにスカウト文を作ってください。 ■ 入力 - 求人(JD):(ここに貼り付け) - 候補者リスト:このフォルダの候補者ファイル(公開情報のメモ)すべて ■ お願い - 候補者ごとに、①の要領で固有の一文から始まる300〜400字のスカウト文を作る - ひな型の使い回しにせず、各候補者の事実に合わせて中身を変える - 候補者名でファイルを分けて出力する ■ ルール - 公開情報にないことは書かない。不明な点は「要確認」と残す - 連絡先などの個人情報は文面に含めない
③ 3通セットで追う
返信が1通目で来るとは限りません。同じ文面を3回送るのはしつこいだけですが、切り口を変えた3通をあらかじめ用意しておくと、押しつけがましさを出さずに接触を重ねられます。
- 初回:あなたのこの経歴・発信に惹かれた(Why You)
- 再送1:なぜ今このタイミングか。会社の新フェーズや市場の動き(Why Now)
- 再送2:30分の面談、メッセージでのQ&Aでも、という具体的で気軽な提案
3通をまとめて用意しておけば、あとは候補者の反応を見て送るだけになり、フォローの抜け漏れがなくなります。
①で作った初回スカウトに続く、再送1・再送2の文面を作ってください。 ■ 前提 - 初回スカウト:(①で作った文面を貼り付け) - 候補者・求人の情報:(同上) ■ 作ってほしいもの - 再送1(初回の数日後):なぜ今このタイミングで再度連絡したかを1点に絞る。300字程度 - 再送2(再送1の1週間ほど後):30分面談やメッセージでのQ&Aなど、具体的で気軽な提案。200字程度 ■ ルール - 「複数の方に」「お忙しいところ何度も」のような一斉送信感・過度な恐縮は避ける - 3通で内容が重複しないよう、切り口を変える
④ 自社の勝ちパターンを覚えさせる
内製の本当の価値はここにあります。過去に返信率が良かったスカウト、評価の高い言い回し、避けたい表現を、Claude Codeに読み込ませて型として持たせられます。
過去の勝ち文面をためて参照させれば、新しいスカウトもその水準に寄ります。使うほど、自社の勝ちパターンが再現されていく。汎用AIが作るのは世間一般の平均で、こちらは自社の勝ち筋を学習させていけます。
守る線:公開情報と個人情報
最後に線引きを1つ。参照するのは公開情報の範囲にとどめ、連絡先などの個人情報は外部のAIに渡さない。公開情報で裏が取れないことは書かない。この線引きを最初に決めておくと安心です。職業安定法や個人情報保護法に沿った運用が前提になります。
まとめ:送るのは同じ、文面の質で差をつける
スカウトを送る基盤は、これまでどおりビズリーチなどのスカウトサービスです。変わるのは文面づくりだけ。手軽に済ませたいなら内蔵AIや月額ツールでもいい。ただ、自社の勝ち筋や両面型の強みを出したいなら、Claude Codeで内製する道があります。自社にしか作れない固有の文面を、質を保ったまま数もこなし、追客まで回せます。
私自身、CFO人材の紹介でこの形を使っていて、定型文を使い回していた頃とは違い、相手に宛てた文章を数を保って用意できるようになりました。文面の質と量を両立できると、スカウトの打率は変わってきます。
人材紹介会社のClaude Code活用の全体像は 人材紹介をハイテク事業に変える10の方法 に、具体的な進め方は 人材紹介会社向けの Claude 活用 にまとめています。スカウトを含めて採用業務全体を1本のワークフローにつなぐ進め方は 人材紹介の採用業務をワークフロー化する方法 にまとめました。まずは、いま一番時間がかかっているスカウトの工程から、相談してみてください。