税理士の顧問料は月額いくら?AI時代に記帳・仕訳が自動化されたら相場はどう変わるか
税理士・会計事務所の方や、顧問税理士をつけている経営者の方と話していると、顧問料の話になることがあります。「うちは月いくらが妥当なのか」「記帳をお願いすると高くなるけれど、自分でやる時間もない」。そこにAIが入ってきて、もう一段ややこしくなりました。記帳や仕訳がAIで自動化されるなら、その分の顧問料はどうなるのか、という問いです。
先に私の見方をお伝えします。今の相場は法人で月2万〜4万円、個人事業主で月1万〜3万円が目安です。このうち記帳代行など作業に対して払っている部分は、AIで自動化が進むと下がる方向に動きます。代わりに、数字を見た相談や経営の提案にお金を払う形へ移っていきます。
私はクロトレという、Claude Codeの業務活用を支援するサービスと、企業に財務のプロ(CFO)をつなぐCFO仲介事業を運営しています。税理士ではないので顧問先と競合することはありません。ただ、自社の月次決算はfreeeとClaude Codeをつないで自分で回していますし、会計事務所のAI活用のお手伝いもしています。数字を扱う側と、財務人材を紹介する側の両方を見てきた立場で、顧問料と役割の見直しを整理します。
01 税理士の顧問料の相場は月額いくら?
顧問料とは、税理士と顧問契約を結んで、毎月払う料金のことです。結論として、金額は会社の売上規模で大きく変わります。年商5,000万円くらいまでの小さな法人なら月2万〜4万円ですが、年商1億円規模で月4万〜7万円、年商5億円を超えると月10万円以上になることもあります。よく「相場は月3万円」と言われますが、それは小規模な法人の目安だと考えてください。個人事業主の場合は、月1万〜3万円が目安です。
公開されている税理士法人の料金表を見ると、顧問料は売上規模に応じて段階的に上がります。下は法人の一般的な水準(税務顧問のみ)を整理したものです。
| 年間売上 | 月額顧問料の目安(法人・税務顧問のみ) |
|---|---|
| 1,000万円以下 | 1.5万〜3.5万円 |
| 5,000万円以下 | 3万〜5万円 |
| 1億円以下 | 4万〜7万円 |
| 3億円以下 | 6万〜9万円 |
| 5億円以下 | 7.5万〜10.5万円 |
| 10億円以下 | 10万〜15万円 |
これとは別に、記帳代行を含む会計支援(記帳代行・月次試算表・決算書の作成など)を頼むと、売上規模に応じて月1万〜15万円ほどが上乗せされます。さらに、決算申告のときの決算料(月額顧問料の4〜6ヶ月分)も別途かかります。顧問契約を結ばず決算申告だけスポットで頼む場合は、15万〜25万円が目安です。
数字の出どころは、検索上位の相場記事と、公開されている税理士法人の料金表です(いずれも2026年時点)。ここで押さえておきたいのは、記帳代行が顧問料とは別建てで、しかも売上規模が上がるほど大きくなることです。相場を一番大きく動かすのも、次に見る記帳代行を頼むかどうかです。
02 顧問料は何で決まる?相場を動かす4つの要因
顧問料は、作業に対する対価と、相談に対する対価が合わさったものです。結論を先に言うと、相場を動かす要因は売上規模・面談頻度・決算料・記帳代行の4つで、このうちAIの影響を最も受けるのが記帳代行です。
記帳代行とは、領収書・請求書・通帳のコピーを会計ソフトに1件ずつ入力していく作業を、税理士側で引き受けることです。手間がかかるので、その分が顧問料に乗ります。具体的な金額で見ると、法人の顧問料は記帳代行なしで月2万円、ありで月4万円というように、記帳代行の有無で月2万円ほど差が出ます(CASTER BIZ accountingの公開相場・2026年時点)。これは小規模なケースの例で、売上規模が大きくなると、前章で見たように記帳代行を含む会計支援だけで月10万円を超えることもあります。
つまり、顧問料の中で記帳代行は決して小さくない比重を占めていて、しかも売上規模が上がるほどその上乗せは大きくなります。この記帳代行の部分が、AIで自動化が進むと真っ先に見直しの対象になります。
03 社長が自分で見られるようになったこと
Claude CodeのようなAIエージェントをfreeeなどのクラウド会計につなぐと何が変わるのか。結論は、これまで税理士に月1回聞いていた「今うちの数字はどうなっているか」を、社長が自分で見られるようになる、ということです。
私自身、自社の月次をfreeeとClaude Codeでつないでから、お金周りの見え方が一番変わりました。今月いくら稼いで、いくら使ったのか。Claudeに聞くだけで、3分ほどで定量的な答えが返ってきます。それまで「だいたいこのくらいだろう」と感覚でとらえていた数字が、一発ではっきりします。
地味なところでは、確認の手間が減りました。自分で確かめようとすると、結局freeeにログインして画面を見に行くことになります。その一手間が面倒で、つい後回しにしていました。今は「先月の売上と費用を出して」と頼めば済むので、月に1回、人によっては3ヶ月に1回しか見ていなかった数字を、気が向いたときに確認できます。自分が見やすい形にClaudeで可視化することもできるので、数字が得意でなくても追いやすくなりました。振り返ると、税理士さんに毎月聞いていたのも、この「いくら稼いで、いくら使ったか」という話でした。
もちろん、社長が全部を自分でやるべきだという話ではありません。月次の数字を見て経営判断に使うところは社長が自分でできるようになる一方で、税務上の判断や申告の責任は税理士に残ります。経営者がClaude Codeとfreeeをつないで月次決算を自分で回す具体的なやり方は、Claude Code×freee連携で経営者が月次決算を回す にまとめました。手元で数字を追えるようになると、税理士に任せる範囲も変わってきます。
04 AIで記帳・仕訳が自動化されると、顧問料はどう変わるか
顧問料の見直しで一番大きいのは、AIで自動化が進む記帳や仕訳の部分です。結論から言うと、ここに対して払っていた顧問料は下がる方向に動き、代わりに相談や提案への対価が中心になっていきます。
流れが変わったのは2026年3月です。freeeとマネーフォワードが、外部のAIとつながる窓口(MCP=Model Context Protocol)を公開しました。Claude CodeのようなAIが会計ソフトのデータを直接読み書きできるようになり、記帳の下書きや仕訳のチェックをAIが担えるようになりました。「税理士の仕事はAIでなくなるのか」という不安がよく語られますが、なくなるのは肩書きではなく、記帳や仕訳といった手順の決まった作業のほうです。この点を将来性の観点から詳しく見たい方は 税理士はAIでなくなる?2026年に変わる業務と生き残る条件 をどうぞ。
顧問料の話に戻すと、記帳代行(会計支援)として別建てで上乗せしていた部分は、AIで自動化が進むほど維持しにくくなります。小規模なら月2万円ほど、売上規模の大きい会社では月10万円を超えることもある部分です。理由はシンプルで、1社あたりの作業工数が下がれば、その分を価格に反映して安く請ける事務所が出てくるからです。そうして相場は少しずつ下がっていきます。作業の量で稼ぐモデルは、これから効きにくくなります。
一方で、対価が増えていく領域もあります。数字を見た相談、資金繰りの見通し、設備投資や採用の判断材料の整理といった、経営に踏み込む部分です。作業の単価と相談の単価には、もともと差があります。AI時代の税理士業務を論じた記事では、記帳代行が時間あたり1,500〜3,000円、経営アドバイスが時間あたり8,000〜15,000円という単価感が示されています(LeaPalの試算・1社の数字なので幅をもって見てください)。同じ1時間でも、作業と相談では対価が数倍違います。記帳の自動化で空いた時間を相談に振り向けられれば、顧問料の中身は作業から相談へと組み替わっていきます。
05 社長と税理士の新しい役割分担
では、誰が何をやるのか。結論として、月次の数字を見るのは社長+AI、税務の判断と責任は税理士、踏み込んだ財務の実務はCFOという形に分かれていきます。役割を一枚に整理します。
| 領域 | 主に担う人 | 中身 |
|---|---|---|
| 記帳・仕訳 | 社長+AI/税理士のチェック | 証憑からの入力と一次チェックはAIが下書き。人が承認する |
| 月次の数字の把握 | 社長+AI | 売上・固定費・手元資金を、試算表を待たず自分で確認・可視化 |
| 税務の判断・申告 | 税理士 | グレーな論点の判断、申告内容への責任と署名 |
| 数字を使った経営提案 | 税理士(CFO化) | 財務モデルの作成、数字にもとづく提案。CFOと重なる領域 |
| 資金調達・銀行交渉 | CFO | 調達の実務、金融機関との交渉。税理士の役割を超える部分 |
ポイントは、記帳と月次の把握が社長側に寄ることで、税理士に頼む中身が「作業」から「判断と提案」へ移ることです。社長が数字を自分で見られるようになると、税理士との会話はむしろ深まります。「今月こうだったが、来期の投資はどう考えるべきか」という相談ができるようになるからです。
06 税理士のCFO化と、CFOにしかできない領域
役割分担の中で、これから伸びるのが「数字を使った経営提案」です。結論として、AIを使いこなす税理士はCFO的な役割まで広がりますが、資金調達や銀行交渉といった実務はCFOの領域として残ります。
税理士がCFO的になる、とはどういうことか。要は、数字を自由に扱えるようになるということです。税理士がClaudeのようなAIを使いこなせれば、財務モデルを作ったり、数字にもとづいて経営の提案をしたりできるようになります。ここはCFOの役割と重なります。これはCFO側にとっても同じで、これまで時間のかかっていた集計や資料づくりが減るぶん、より質の高い計算と検討に時間を使えるようになります。
ただし、すべてが重なるわけではありません。資金調達の実務や、金融機関との交渉といった部分は、やはりCFOにしかできない領域です。税理士の役割は「数字を使った提案」まで拡大していきますが、その先の調達・交渉までは踏み込みません。
整理すると、進む方向は2つあります。ひとつは、税理士・会計事務所側がAIで作業を自動化し、空いた時間を提案に回せるようになること。これは 税理士・会計事務所のためのClaude Code活用 で、何から自動化するかを一緒に整理できます。具体的な使い方は 税理士のためのClaude Code活用ガイド にまとめています。もうひとつは、顧問税理士でカバーしきれない財務戦略を、CFO人材で補うこと。調達フェーズや事業の踏み込んだ局面では、CFOの実務が要ります。どちらも、AI時代に役割が再分担されていく中で出てくる、自然な選択肢です。
07 顧問料を見直すタイミングと進め方
最後に、実際にいつ・どう見直すかです。結論として、見直しに向くのは記帳代行を頼んでいるとき、売上規模が変わったとき、そして契約更新のタイミングです。
まず、記帳代行を頼んでいる場合は、その部分を自社+AIに切り替えられないかを検討します。記帳を自分たちで回せるようになれば、顧問料のうち作業に対する部分を見直す交渉の材料になります。次に、売上規模が大きく変わったときも見直しどきです。顧問料は規模で変わるので、創業期の契約のまま据え置きになっていることがあります。
進め方としては、いきなり減額の話をするのではなく、何を自分たちでやれるようになったかを共有するところから始めるのがおすすめです。記帳と月次の把握を社内で回せるようになったうえで、空いた税理士の時間を相談や提案に振り向けてもらう。総額を削ることが目的ではなく、同じ顧問料でも中身を作業から相談へ組み替えるほうが、結果的に双方にとって価値が高くなります。
社内でどこまでAIを使えるようにするかは、一人で試すか、研修で複数人を底上げするかで進め方が変わります。事務所・企業の規模に応じた選び方は 税理士のClaude Code、顧問と研修どっちで始める? に整理しました。
まとめ:顧問料は「作業」から「相談」へ組み替わる
税理士の顧問料は、今のところ法人で月2万〜4万円、個人事業主で月1万〜3万円が目安です。このうち記帳代行など作業に対して払っていた部分は、AIで自動化が進むと下がる方向に動きます。1社あたりの工数が下がれば、価格を下げる事務所が出てきて、相場も少しずつ動いていきます。
ただ、顧問料がなくなるわけではありません。社長が月次の数字を自分で見られるようになるぶん、税理士に頼む中身が、記帳という作業から、数字を使った相談と提案へ移っていきます。AIを使いこなす税理士はCFO的な役割まで広がり、その先の資金調達や銀行交渉はCFOが補う。そうやって、社長と税理士とCFOの役割が再分担されていきます。
顧問料の見直しは、まず自分たちで数字を見られるようにするところからです。税理士・会計事務所として何から自動化するかは 税理士・会計事務所のためのClaude Code活用 で、30分の無料相談から一緒に整理しましょう。